Adelie's Agile Diary

Agile,Scrum関連のイベントレポートを中心に、日々の学びをアップします。

RSGT2020 参加レポート

2020/1/8(水)〜10(金)の3日間、
Regional Scrum Gathering Tokyo 2020 に参加してきました。 昨年に続いて2回めの参加です。

1年間新米スクラムマスターとして、成功も失敗も多々経験してきたからか、
昨年よりグッと深く学べる、大変貴重な3日間でした。

2020/ 1/ 8(水) Day 1

「The Ten Bulls of the Scrum Patterns」 - James Coplien

The Ten Bulls of the Scrum Patterns
Keynote (YouTube English)

スクラムがチームに浸透していく過程を「十牛図」になぞらえて話されました。
スクラム初心者から熟練者まで、自分が今どの過程にあり、 これからどのようになっていくのか、がよく分かるセッションでした。 f:id:soy-loft-retro:20200113225151p:plain

1、尋牛(じんぎゅう)…牛を探しているが、まだ見つからない。
  スクラムということは知らない。

2、見跡(けんせき)…牛の足跡を見つける。
  アジャイルスクラムという言葉を聞いた。

3、見牛(けんぎゅう)…牛の姿を見つける。
  会社の中に別のスクラムチームがあるとか、別の会社にあるとか。
  皆さんも参加したい。
  生産性という言葉にワクワクする。

4、得牛(とくぎゅう)…牛を得た。
  実際にスクラムをやってみる。
  スクラムコーチを雇う。
  PBIが要件ではなく、インクリメントであることを学習する。
  古いPMのやり方を拭い去っていく。
  パターンを通して勉強していく。
  講習で深い説明はない。
  深い理解がなければ、なぜPBIを作るのかがわからなければWFになってしまう。

5、牧牛(ぼくぎゅう)
  徐々に「なぜ」が重要か分かる。
  例えば、「なぜ」デイリースクラムをするのか。
  このスプリントでスプリントゴールを達成するように翌日の作業を再計画する。
  例えば、スプリントの50%は失敗する。
  なぜなら、スプリントに持ち込むものは平均的なベロシティ。
  スプリントの半分は平均ベロシティより早く終わり、半分は平均より遅くなるから。
  スクラムは「コントロールされた環境で失敗する」こと。
  失敗を許さなければインセンティブはない。
  改善改革をする動機がなくなってしまう。

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6、騎牛帰家(きぎゅうきか)
  皆さんの心に平安が訪れる。
  会社がスクラムを受け入れる。
  私達がエゴのない無心のチームになれる。
  私、ではなく、私達の発想でできるようになる。
  スクラムの構成が理解できる。
  それには「なぜ」を追求し、自分の真の姿に反映しなければならない。
  どんなイベントがどう関係しているのか。
  チームの全体を高めていく。

7、忘牛存人(ぼうぎゅうぞんじん)
  スクラムが当たり前の状態になる。
  スクラムで何を構築するのか。
  まず、スクラムチーム。
  一番大事なのはチーム。チームがプロダクトを作る。
  正しいプロセスを作れば正しいプロダクトができる。
  そのプロダクトをマーケットにデリバリーするとチームに二次的な効果が生まれる。

  アジャイルである、とは常に変化していく。
  常に良くなっていく。
  承認された標準の通りにやっている、というのは、変化していない。
  チームがエネルギーを感じられるか。
  皆さんのチームは. 「集まったらそこに強力なエネルギーが生まれているか」が重要。

  力が生まれなければ反省の余地がある。
  なぜ場が生まれないのか。
  その場にいて、わくわくする必要がある。
  素晴らしいことをやっている、という感覚がある。

  一つのインクリメントに全体で関わる。
  サブチームに分けると依存性に対応できない。
  トヨタのワークシェルの概念からきている。
  チーム全員が同じことに作業しなければ、
  開発ステージの違うプロダクトが発生し、在庫が発生する。
  在庫があるということは恥ずべきこと。

8、人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう)
9、返本還源(へんぽんかんげん)
10、入鄽垂手(にってんすいしゅ)

後半は、私の言葉では表現できない世界の為、割愛します。。

冒頭に『スクラムはやることではない。自分自身である。スクラムに皆さんがなるんです。』 と言われていたことが印象的でした。


アジャイルコーチ活用術」 - Ryutaro YOSHIBA (Ryuzee)

アジャイルコーチ活用術
私がスクラムマスターとして参加したチームで、 アジャイルコーチにも入って頂いていた為、学ぶことがとても多いセッションでした。

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コーチは「銀の弾丸ではない」ということと、
冒頭の「自分たちで考えることができる生産的なアジャイルチーム」を目指すことが、 とても大事だなぁと感じました。


「みなさんのプロダクトバックログアイテムはOutcomeを生み出していますか?」 - Yoh Nakamura

みなさんのプロダクトバックログアイテムはOutcomeを生み出していますか?

OutputとOutcomeについてです。

  • OutputとOutcome
    • Output…作った機能
    • Outcome…利用者がどう変わったか?課題が解決したか?幸せになったか?
  • Outputの例
    • 商品を画像で検索できる
  • Outcomeの例
    • 探す手段が増え、検索回数が増え、カートに入れる割合が増加する(Business Outcome)
    • 探せなかった商品を画像で見つけ、手に入れることができるようになる(User Outcome)
  • OutputとOutcomeの関係
    • 対立構造ではない
    • 両方にフォーカスする
    • Outputは評価しやすいので重視しがち
    • Outputができない中でOutcomeは説得力がない
  • ダイヤの概念
    • Outcomeの価値を、ストーリーポイントと同じように相対的にポイントをつける
    • ダイヤとストーリーポイントがわかるとROI(費用対効果)が分かる
    • より納得感、自信を持った順番でPBIにとりかかることができる

「Outputができない中でOutcomeは説得力がない」は、説得力がありました。 まずはOutputが出せるようになって、それからですね。


「プロダクト生存戦略 : 大企業で新規事業を始めて成功させるには」 - Yasunobu Kawaguchi / Mori Masaya / Atsushi Ohta / Tatsuya Kinugawa

プロダクト生存戦略 : 大企業で新規事業を始めて成功させるには

パネルディスカッション形式でのセッションでした。

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  • 投資について、体制について
    • 現事業と新規事業で言い分がある。同じ会社なのに対立構造になりがち。
    • お互い自分の立場を言いがちだが、立場が変わったら同じことを言うのでは。
      言い合ってしまうタイミングは、お互いを知らないと起きる。

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  • 偉い方はたくさんいる
    • 上司など、邪魔されている私が悪い。
    • 偉い人ごときを手玉にとれないと。
  • ごにょごにょやる
    • 愚直に全部自分でやる。
    • うまくいかないとき、一つ原因を特定すると止まってしまう。
    • 他のリソースを使う対応、自分でなんとかする、など。
    • 一定の突破口にこだわりがちだが、他からいく。

社内の人間関係の問題はどこにでもあるのだと、よく分かりました。


「チーム・組織に変化を起こす!オリジナルのチェンジ・フレームワークを構築する方法」 - Stefan Nüsperling / Yasuyuki Kashima

チーム・組織に変化を起こす!オリジナルのチェンジ・フレームワークを構築する方法

前半は「Management3.0」についてのダイジェスト講義、
ワークショップ形式でチェンジ・キャンバスを作成し、「リーン・チェンジマネジメント」を体感しました。

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  • アジャイルへの変化(変革)は、70%が失敗しているとも言われている。

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  • 失敗の原因は、大きく以下の4つ。
    1、組織文化を変えない
    2、変化への抵抗
    3、スキルの欠如
    4、管理サポートの欠如

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  • 「変化への抵抗」とは、「変化させられることへの抵抗」

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  • 実際にワークショップ形式で実践してみました。

最後に

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3日目に集合写真を撮りました。
今回はスポンサーのScrum Allianceさんから頂いた「Done !」Tシャツを着ています。

息子にこの写真を見せたら 「青い軍団(Done !)だね」と言ってました。