Adelie's Agile Diary

Agile,Scrum関連のイベントレポートを中心に、日々の学びをアップします。

読書レポート『みんなでアジャイル〜変化に対応できる顧客中心組織のつくりかた〜』

社内で初めての、スクラムでのプロダクト開発が始まってから半年。チームは順風満帆、、、とはとてもいかず、日々試行錯誤の連続です。

チーム発足時点ではスクラムマスターだった私のプロジェクトは、 現在はスクラムマスター不在となりましたが、 それでもチーム全体で、アジャイル開発を続けています。 そんな中、今の私の悩みに向き合える本を読みましたので、紹介したいと思います。

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アジャイル開発」は、「手法」でも「マインドセット」でもなく「ムーブメント」である、 と、この本には書かれています。

「手法」でも「マインドセット」でもない「ムーブメント」としてのアジャイルをこの本から学び、 またこのブログを通して、現在の私の気持ちの整理を行ってみたいと思います。 (注:特に心に残った部分を引用し、個人的な感想としてコメントしました。)

まえがき

なぜ私が積極的に推進できないのかというと、アジャイル手法導入が目的化してしまっている組織を多くみてきたからだ。

アジャイル導入の初期段階では形式から入ることが多いが、メンバーが一つひとつの手法の意味を理解できるまでは時間がかかる。 そのため、手法導入から次の段階に進むことができないケースは多いと思います。

アジャイル手法はあくまでも「型」であり、その「型」を学ぶだけでは、真の目的は達せられないということだ。
筆者はここで両者(手法としてのアジャイルと、マインドセットとしてのアジャイル)を連携させる「ムーブメントとしてのアジャイル」を提唱する。
このムーブメントとしてのアジャイルは、まさに型とその型がある理由、そしてその型通りに動かすために
必要な筋肉の付け方までを考える。スポーツの実践と同じだ。

アジャイルを「手法」と理解している人に対し、手法を通して「マインドセット」を伝えようとしても、 「話は分かるが実際にどうしたら良いのかが分からないし、やっていることに必要性を感じられない」 となり、結果として、アジャイルに対する否定的感情が残ってしまうのかな、と思います。

重要なのは手法の違いではなく、本質の理解と追求だ

「本質を理解」し「追求」していくことができれば、 「マインドセットの押し付け」ではなく、一緒に「ムーブメントを実践する」ことができるようになれると理解しました。

はじめに

これから私たちはアジャイルプロセスに取り組むことになった。そうすれば倍の仕事を半分の時間でこなせるようになるんだ。

アジャイルをこのように理解されている方は多いと思います。 同時に、手法の導入のみでこのような結果を実現できる、という誤解も多いと思います。

初めてのアジャイルのあと、大きな発見をした気がした。
アジャイルは単にプロセスやツールについてではなく、人や文化についてのものだということだ。

このことを理解することが、最初のハードルと思います。 課題解決の為のプロセスやツールを求めて「アジャイル」に関わっている人にとって、 仕事のやり方自体を変えることは、心理的な抵抗が大きいからです。

アジャイルの本当に強力な点は、具体的で実行可能なプラクティスを提供していることだけでも、
人を活気づけるような原則によって導かれていることだけでもなく、必然的にそれら両方を含んでいることなのだ。
私たちは自分たちの思い込みを打破して考えを変えたいと思っているが、これは簡単なことではないのだ。

これも、とても考えさせられます。 この本を呼んで、アジャイルに取り組んでいる私自身が、「自分の強い思い込み」にこだわり、 変化への適応に抵抗していたことに気付かされました。

本書での私のゴールは2つの質問に答えることだ。
1つは、アジャイルの根底にある原則を、
役割や職能をまたいで各個人が等しくアクセス可能な教育的な方法で広めていくにはどうすればよいか。
もう1つは、その原則を実践する上で日々の仕事の中で実際に何ができるのかである。

アジャイルは、プロダクトオーナーや開発チームメンバーだけでなく、 関係する部門や組織全体で進めた方がより効果を発揮します。 とはいえ、組織全体への働きかけがすぐにできるケースは限られますので、 「日々の仕事の中で実際に何ができるか」が大切になってきます。

この本では、 特に後者の「日々の仕事の中で実際に何ができるか」について具体的に言及されており、 話では分かる「アジャイル」をどうすれば進めていくことができるか、 について考えるきっかけを与えてくれます。

結局、私たちのゴールは私たちの働き方を改善すること、つまり理論に関する議論よりも実際の行動を優先させることなのだ。

アジャイル導入時、手法やマインドにこだわりすぎると、このことを忘れてしまいます。 理論に関する議論よりも、実際の行動を優先させ、働き方が改善されることに意識を向けていく必要があります。

1章「アジャイル」とは何か?なぜ重要なのか?

手法としてのアジャイル マインドセットとしてのアジャイル ムーブメントとしてのアジャイル
チーム内の各自が、事前に定義された方法で協力し、相互に作用しなければいけない。 チーム内の各自が、それぞれにアジャイルな「マインドセット」を育まなければならない。 チーム内の各自が、共通の目標と価値観に向かって協力しなければいけない。

この「チーム内の各自が、共通の目標と価値観に向かって協力する」ことが大事なことは認識していましたが、 その為の方法は「マインドセットを育ませる」ことだけでは不十分であることが、よく分かります。

アジャイルはハイテク企業に本質的な競争優位性をもたらす秘密の魔法のようなものだ、という考えは単純化しすぎであり〜

「小さなスタートアップのように働くこと」がアジャイルの価値観の実現の成功を保証してくれるものでもない〜

良くも悪くも、5人のハイテク組織でも、鎖国状態でコミュニケーション不全で、自分たちのやり方に凝り固まるようになり得る。
本当の意味でアジャイルの方式を受け入れるということは、
目先の競争優位性やハイテクの後光を授けてくれるようなルールやプラクティスがあるかもしれないという考えを捨てることだ。

「手法」「マインドセット」を理解した上で、 自分たちの「共通の目標と価値観」に向かって進んでいくことが「アジャイル」である、ということだと思います。

アジャイル」を意識して仕事を進めていくと、いくつかの大きな課題が見えてきます。 「従来の仕事の仕方」に人をつなぎとめておくこれらの課題を「組織重力の3つの法則」 と書かれています。

  • 組織の個人は、日々の責任ややる気を伴わない場合、顧客対応を避ける。
  • 組織の個人は、自分のチームやサイロの居心地のよさのなかでいちばん簡単に完了できる仕事を優先する。
  • 進行中のプロジェクトは、プロジェクトを承認した最上位者の決定がない限りは続く。

これらについて、

私たちが何年も「従来の仕事の仕方」を進めながら築きあげてきた習慣と期待の総和の現れだ。

と書かれてありますが、 これらは「手法」としてのアジャイルを導入しただけでは解決できるものではなく、 「よりよいプロダクトを、より早く顧客に届ける」ために、改善が必要な課題です。

現実の世界では、最大限アジャイルに寄せようとしても、小さな輪が並んでいるようなアレになることはめったにないのだ。〜

たとえ教科書的な方式が不可能に思えても、機会を見つけて日々の仕事にアジャイルの原則を適用することが重要だ。

実際のプロジェクトでは、アジャイルをそのままチームに適用するだけで、すぐに最大限の効果が現れることもないし、 全員のマインドセットが急に変わり、チーム内外の衝突がなくなることもありませんが、 アジャイルを進める中で見えてきた課題に一つひとつ丁寧に向き合い、時間はかかるけれどできることから改善していくことで、 着実に「共通の目標と価値観」に向かって進んでいくことができる、ということだと思います。

2章 自分たちの北極星を見つける

この章では最初に「フレームワークの罠」について解説されています。 手法・プラクティスを導入すれば成功できる、という考えから引き起こされる課題です。

  1. 今の仕事のやり方は柔軟性に欠けていて遅い
  2. 柔軟で早くなれるアジャイルフレームワークを選ぼう
  3. アジャイルのプラクティスに表面的に従う。なぜ柔軟性に欠けていて遅いのかを考えはしない
  4. 仕事のやり方が元に戻る。相変わらず根底にある組織の問題に影響を受け続ける

この「フレームワークの罠」から逃れる2つの方法について、続けて書かれています。

・意義あるものにする:「自分たちの具体的なゴールは何か。現在のやり方がどうゴールの達成を阻んでいるか?」
・自分たちのものにする:「自分たちの具体的なゴールを達成するために役立つアジャイルの価値と原則は何か?」

あらかじめ納期や予算、スコープが決まっているようなプロジェクトに対してアジャイルを適用する、といったケースの場合、 アジャイルを進めながら「私たちのゴールは決まった納期までにプロダクトを作り上げること」となりがちです。

多くの組織がアジャイルに惹かれるのは、アジャイルを使うと早くてより柔軟になれると考えているからだ。

ということは理解しているはずなのに、「私たちのゴール」は何なのかを考えられていない、ということはないでしょうか。

  • チームや組織が将来なりたい状態は?
  • チームや組織の現在の状態は?
  • 将来なりたい状態になれないと思う理由は何か?

これらについて、まずは考え、そしてチームで共有することが必要です。

3章 顧客から始めるのがアジャイル

アジャイルは効率や速さを向上させるための運用改善とみなされていることが多い。
だが、アジャイルの旅を成功させるには、単に人がどう協力しなうかだけでなく、
顧客のためにどう協力しあうかが重要なのだ。

従来型の会社組織では、開発部門と顧客対応の部門が分かれているため、 開発部門や企画部門は効率や速さを重視し、 顧客部門はそのようなアジャイルに関心が低い。 結果として「協力しあう」ことが難しくなっているのかなと思います。

多くの場合、アジャイルは速度に焦点を合わせていて、成果の品質には焦点を合わせていません。
速度を速くすることはできても、重要なことが何もできていないこともあります。
ビジネスのステークホルダーは顧客の代理ではありません〜
顧客価値が実現できるような形で「完成」を定義しなければいけないのです。

この文の後に、

「ビジネスのステークホルダーを幸せにするもの」と
「顧客に価値をもたらすもの」が、必ずしも常に一致するわけではない、

とありますが、

「ビジネスのステークホルダーに対し、効率や速さを価値基準に仕事をしている」 という考えに、 「どれだけすばやく顧客に価値を届けられるか」 の観点を含めることができれば、大きく前進できるのだと思います。

ただ、言葉では分かっていても、実践することは大変難しいです。 「組織構造から変わらないと無理」「うちには理解のある人が少ないから〜」と、 できない理由が溢れ、中断してしまいます。

この疑問について私がこの本から学んだことは、 「原則をより深く理解し、できることからひとつずつ始めていくことが大事」ということでした。

アジャイルを今までと同じことをうまく速くやる方法とみなすのであれば、
顧客が違うものを欲しがるかもしれないという本当のリスクは決して軽減されていないのだ。
結局のところ、単に多くの仕事を終わらせることが私たちのゴールなら、
作る時間を犠牲にしてまで、どうして顧客との会話に時間を浪費するのだろう?
大規模な計画を、顧客を含まない2週間のチャンクに分割したところで、
スプリントで仕事をしていることにはまったくならない。相変わらずビジネスに見せかけのアジャイルを適用しているだけだ。
以前のスプリントの作業を気楽に捨てているなら、
それは、作る速度よりも顧客の学習を重視していると言えることを示している。

今のチーム、今の役割の中で、できることは何かを考え、実践していきたいと思います。

4章 早期から頻繁にコラボレーションするのがアジャイル

この章も、非常に大事なことを教えてくれています。

チームや組織にアジャイルを導入することに関心を持つ人たちの多くが、
何らかの正式な組織再編をしないことにはコラボレーションを増やすことは不可能だと思っている。

そのとおりだと思います。 これも「アジャイルはやっても成功しない」と言われる理由の一つです。

こういう組織がアジャイルプラクティスを採用しても、
「また会議か」の向こうにあるもっと協調的な文化がどんなものであるのか、想像できないだろう。
こういった組織は、根本的な文化の転換が必要だ。
報告と批評の文化から協調的な文化への転換である。

協調的でアジャイルな文化

  • 会議はアイデアを共有し仕掛中の仕事について決定する機会
  • ほかのチームとや職能の人たちとの交流は、潜在的な将来の依存関係や衝突を回避する方法と考えられている。
  • 各チームの目標は、全社目標と顧客の目標のもとに調整される
  • プロジェクトのニーズに合わせて、チーム構成や指揮系統を一時的に再編成できる。

このような変化は、トップダウンボトムアップ、双方の意識が変わることで起きてくるのだと感じています。 一方的に、プラクティスやルールを押し付けても受入れられるものではなく、 参加している一人ひとりがその意義を実感していくことで作られていく、まさに「文化」であると思います。

「文化」は誰か一人で作るものではなく、関係する全員で作っていくものであることを、改めて学びました。

5章 不確実性を計画するのがアジャイル

多くの組織は、シニアリーダーを含む多くの人が、
組織の成功にとって適応性が重要であることに同意している場合でさえも、
実際の方針を変えるのに苦労している。
プロジェクトや活動、プロダクトのアイデアが経営幹部から承認されれば、
それが顧客ニーズかや企業の目標に合致しないことが明らかになっても、
そのまま続けられる可能性が高いのだ。

これも大きな問題です。 チームで悩んでいること、会社で悩んでいることのほとんどが、 すでに他のチーム、他の会社で課題となっており、共通の問題であることが、 この本を読むとよく分かります。

更に続けて、現実的な問題について深く言及されています。

アジャイルは「いつでも何でもできる」という感覚をもたらすことが多いですが、
実際はそんなことはありません。予算があります。
短期的なアジリティと長期的な計画との緊張関係が完全に解消されることはない〜
代わりに、組織の現実的な制約を踏まえて、何ができるかに焦点を合わせよう。

ここでも大事なことは、 課題を正しく認識し、どちらか一方を否定するのではない、改善できる方法を見つけること、 と学びました。

アジャイルでの大きな課題の1つは、
「理由」を理解することなしに、やらなければいけないことになってしまうことです。

人には「深く考えるより前に、まず始めてみよう」という感情が先行するタイプと、 「必要性を感じないことをやる必要はない」という論理が先行するタイプがありますが、 アジャイルラクティスのような、 言葉だけではその必要性を理解するのが難しいことを実践し共有していくには、 急がず、より丁寧に、お互いの理解のペースを揃えて進めていくことが必要だと思います。

続けて、ここではふりかえりの大切さについても書かれています。

ふりかえりは、一緒に仕事をする方法についての疑念、疑問、不確実性を声に出す場になる〜
だが、ふりかえりで明らかになる単純な事実は、
チームが行き詰まって無力感を覚えてしまうような暗黙の信念や仮定に立ち向かうきっかけになる。

「ふりかえり」もアジャイルを導入するチームでは実践されているが、 これも、言葉で必要性を聞いて理解しても、その必要性を実感するまでには時間がかかるものです。

アジャイルを単にベロシティを向上させるための手段と考えているチームや組織にとって、
ふりかえりは生産に使える時間を無駄に浪費しているように見えるかもしれない……
結局、何も作らず、座ってものを作る方法について話しているだけだからだ。

目の前の仕事に追われている場合や、納期のプレッシャーを強く感じている場合、 「無駄な時間を削るカイゼン」として、ふりかえりの時間が削られてしまうことがあります。

これについての回答としては、この章のまとめに書かれてある、 以下の言葉になるのかな、と思います。

新しい情報によって進ちょくが損なわれるという不安な気持ちを、
手遅れになる前に新しい情報を取り込めるという感謝の気持ちに変えるのだ。

「変化することに対する不安」「変化させられることに対する不安」は 誰もが持っているものですが、 「顧客によい価値を届けたい」という共通の思いをチームや組織で共有することで、 前進していけるのだと感じました。

6章 3つの原則に従い、早くて柔軟で顧客第一なのがアジャイル

このサイクルに勢いをつけられれば、本当の変化が起こると信じられるようになる。
アジャイルは組織の全員に適用されたとき、いちばん効果を発揮し、変革を促進する。
どんなレベル、チーム、役割でも、日々の仕事に原則を適用しなければならない。

この章ではこれまでのまとめの意味合いで、 3つの原則(3章〜5章)を適用することでどのようなことができるか、 について書かれています。

など、どれも考えさせられる内容でした。

特に、IBMでの事例の中に「市場でのベロシティ」について書かれてありました。

「ベロシティ」について考えるとき重要なのは、市場でのベロシティです。
いちばん重要な質問は、市場でユーザー価値を実現し、
ほかの選択肢よりもよいと認識してもらえるか、ということです。
競合よりも先にユーザーに届けられるか?
届けられなければ、困難が待ち受けています。
内部のベロシティを測るのに時間をかけすぎてしまうと、プロセスの効率化に夢中になる一方で、市場を見失ってしまうリスクがあります。

「内部のベロシティ」から「市場のベロシティ」に意識を向けることができれば、 「顧客中心主義」を進めていくことができると感じました。

まとめ 〜この本を読んで〜

「顧客中心主義」「コラボレーション」「変化の許容」という3つの原則は、 どれもアジャイルを学ぶ中で理解する、ある意味「基本的」なことなのですが、 頭で理解しても、実践すると高い壁にぶつかり、行き詰まってしまうことばかりです。

そんな中で、この本はこの「高い壁」に分かりやすい言葉で正面から向き合い、 理想論の押し付けではなく、現実的な対応方法を分かりやすい言葉で説明されており、 今、まさに壁にぶつかり悩んでいた私にとって、とても学ぶことの多い本でした。

RSGT2020 参加レポート

2020/1/8(水)〜10(金)の3日間、
Regional Scrum Gathering Tokyo 2020 に参加してきました。 昨年に続いて2回めの参加です。

1年間新米スクラムマスターとして、成功も失敗も多々経験してきたからか、
昨年よりグッと深く学べる、大変貴重な3日間でした。

2020/ 1/ 8(水) Day 1

「The Ten Bulls of the Scrum Patterns」 - James Coplien

The Ten Bulls of the Scrum Patterns
Keynote (YouTube English)

スクラムがチームに浸透していく過程を「十牛図」になぞらえて話されました。
スクラム初心者から熟練者まで、自分が今どの過程にあり、 これからどのようになっていくのか、がよく分かるセッションでした。 f:id:soy-loft-retro:20200113225151p:plain

1、尋牛(じんぎゅう)…牛を探しているが、まだ見つからない。
  スクラムということは知らない。

2、見跡(けんせき)…牛の足跡を見つける。
  アジャイルスクラムという言葉を聞いた。

3、見牛(けんぎゅう)…牛の姿を見つける。
  会社の中に別のスクラムチームがあるとか、別の会社にあるとか。
  皆さんも参加したい。
  生産性という言葉にワクワクする。

4、得牛(とくぎゅう)…牛を得た。
  実際にスクラムをやってみる。
  スクラムコーチを雇う。
  PBIが要件ではなく、インクリメントであることを学習する。
  古いPMのやり方を拭い去っていく。
  パターンを通して勉強していく。
  講習で深い説明はない。
  深い理解がなければ、なぜPBIを作るのかがわからなければWFになってしまう。

5、牧牛(ぼくぎゅう)
  徐々に「なぜ」が重要か分かる。
  例えば、「なぜ」デイリースクラムをするのか。
  このスプリントでスプリントゴールを達成するように翌日の作業を再計画する。
  例えば、スプリントの50%は失敗する。
  なぜなら、スプリントに持ち込むものは平均的なベロシティ。
  スプリントの半分は平均ベロシティより早く終わり、半分は平均より遅くなるから。
  スクラムは「コントロールされた環境で失敗する」こと。
  失敗を許さなければインセンティブはない。
  改善改革をする動機がなくなってしまう。

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6、騎牛帰家(きぎゅうきか)
  皆さんの心に平安が訪れる。
  会社がスクラムを受け入れる。
  私達がエゴのない無心のチームになれる。
  私、ではなく、私達の発想でできるようになる。
  スクラムの構成が理解できる。
  それには「なぜ」を追求し、自分の真の姿に反映しなければならない。
  どんなイベントがどう関係しているのか。
  チームの全体を高めていく。

7、忘牛存人(ぼうぎゅうぞんじん)
  スクラムが当たり前の状態になる。
  スクラムで何を構築するのか。
  まず、スクラムチーム。
  一番大事なのはチーム。チームがプロダクトを作る。
  正しいプロセスを作れば正しいプロダクトができる。
  そのプロダクトをマーケットにデリバリーするとチームに二次的な効果が生まれる。

  アジャイルである、とは常に変化していく。
  常に良くなっていく。
  承認された標準の通りにやっている、というのは、変化していない。
  チームがエネルギーを感じられるか。
  皆さんのチームは. 「集まったらそこに強力なエネルギーが生まれているか」が重要。

  力が生まれなければ反省の余地がある。
  なぜ場が生まれないのか。
  その場にいて、わくわくする必要がある。
  素晴らしいことをやっている、という感覚がある。

  一つのインクリメントに全体で関わる。
  サブチームに分けると依存性に対応できない。
  トヨタのワークシェルの概念からきている。
  チーム全員が同じことに作業しなければ、
  開発ステージの違うプロダクトが発生し、在庫が発生する。
  在庫があるということは恥ずべきこと。

8、人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう)
9、返本還源(へんぽんかんげん)
10、入鄽垂手(にってんすいしゅ)

後半は、私の言葉では表現できない世界の為、割愛します。。

冒頭に『スクラムはやることではない。自分自身である。スクラムに皆さんがなるんです。』 と言われていたことが印象的でした。


アジャイルコーチ活用術」 - Ryutaro YOSHIBA (Ryuzee)

アジャイルコーチ活用術
私がスクラムマスターとして参加したチームで、 アジャイルコーチにも入って頂いていた為、学ぶことがとても多いセッションでした。

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コーチは「銀の弾丸ではない」ということと、
冒頭の「自分たちで考えることができる生産的なアジャイルチーム」を目指すことが、 とても大事だなぁと感じました。


「みなさんのプロダクトバックログアイテムはOutcomeを生み出していますか?」 - Yoh Nakamura

みなさんのプロダクトバックログアイテムはOutcomeを生み出していますか?

OutputとOutcomeについてです。

  • OutputとOutcome
    • Output…作った機能
    • Outcome…利用者がどう変わったか?課題が解決したか?幸せになったか?
  • Outputの例
    • 商品を画像で検索できる
  • Outcomeの例
    • 探す手段が増え、検索回数が増え、カートに入れる割合が増加する(Business Outcome)
    • 探せなかった商品を画像で見つけ、手に入れることができるようになる(User Outcome)
  • OutputとOutcomeの関係
    • 対立構造ではない
    • 両方にフォーカスする
    • Outputは評価しやすいので重視しがち
    • Outputができない中でOutcomeは説得力がない
  • ダイヤの概念
    • Outcomeの価値を、ストーリーポイントと同じように相対的にポイントをつける
    • ダイヤとストーリーポイントがわかるとROI(費用対効果)が分かる
    • より納得感、自信を持った順番でPBIにとりかかることができる

「Outputができない中でOutcomeは説得力がない」は、説得力がありました。 まずはOutputが出せるようになって、それからですね。


「プロダクト生存戦略 : 大企業で新規事業を始めて成功させるには」 - Yasunobu Kawaguchi / Mori Masaya / Atsushi Ohta / Tatsuya Kinugawa

プロダクト生存戦略 : 大企業で新規事業を始めて成功させるには

パネルディスカッション形式でのセッションでした。

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  • 投資について、体制について
    • 現事業と新規事業で言い分がある。同じ会社なのに対立構造になりがち。
    • お互い自分の立場を言いがちだが、立場が変わったら同じことを言うのでは。
      言い合ってしまうタイミングは、お互いを知らないと起きる。

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  • 偉い方はたくさんいる
    • 上司など、邪魔されている私が悪い。
    • 偉い人ごときを手玉にとれないと。
  • ごにょごにょやる
    • 愚直に全部自分でやる。
    • うまくいかないとき、一つ原因を特定すると止まってしまう。
    • 他のリソースを使う対応、自分でなんとかする、など。
    • 一定の突破口にこだわりがちだが、他からいく。

社内の人間関係の問題はどこにでもあるのだと、よく分かりました。


「チーム・組織に変化を起こす!オリジナルのチェンジ・フレームワークを構築する方法」 - Stefan Nüsperling / Yasuyuki Kashima

チーム・組織に変化を起こす!オリジナルのチェンジ・フレームワークを構築する方法

前半は「Management3.0」についてのダイジェスト講義、
ワークショップ形式でチェンジ・キャンバスを作成し、「リーン・チェンジマネジメント」を体感しました。

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  • アジャイルへの変化(変革)は、70%が失敗しているとも言われている。

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  • 失敗の原因は、大きく以下の4つ。
    1、組織文化を変えない
    2、変化への抵抗
    3、スキルの欠如
    4、管理サポートの欠如

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  • 「変化への抵抗」とは、「変化させられることへの抵抗」

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  • 実際にワークショップ形式で実践してみました。

最後に

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3日目に集合写真を撮りました。
今回はスポンサーのScrum Allianceさんから頂いた「Done !」Tシャツを着ています。

息子にこの写真を見せたら 「青い軍団(Done !)だね」と言ってました。